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転職してキャリアアップを目指します!
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ITエンジニアは、どのような理由で転職を考えるのか。いくつかの事例から、転職者それぞれの課題と解決のプロセスを紹介する。似たような状況に陥ったときの参考になるだろう。

会社という組織に属していると、「異動」や「転籍」という転機を経験することもあると思います。

その異動が自分自身のキャリアビジョンに沿うものならば、大きなチャンスになるでしょう。しかしなかなか希望どおりにはいかないもので、このことが原因で転職を考える人も多いですね。

今回は、急な異動命令を出されたために転職を考えたあるITエンジニアのケースを紹介します。
■オープン系のシステムにかかわりたい

木戸さん(仮名)は33歳のITエンジニアです。新卒で金融系に強みがある中堅システムインテグレータ(SIer)に入社しました。

研修後はA証券会社の基幹系システム(メインフレーム)の運用・保守プロジェクトに配属されました。持ち前の向上心を発揮し自己啓発を絶やさず、順調に開発・設計の経験を積み、一部基本設計にもかかわりました。

5年目には10~15人月程度のプロジェクトのリーダーとして、工程・品質・ベンダ管理を任されるまでになりました。

順調にキャリアを積み上げているように見える木戸さんですが、実は本人はこのころから、1つの大きな不安を抱えるようになっていました。それは「オープン系システムに関するプロジェクトの経験をしていない」ということです。「このままでは将来、ITエンジニアとして行き詰まるのでは?」。木戸さんはそう考えるようになっていました。

そこで木戸さんは上司に対し、「オープン系システムにかかわりたい!」と明確にアピールし始めました。定期的に異動願いも出していたとのことです。

ただ会社の立場としては、顧客の評判がいい木戸さんを別プロジェクトへ簡単に異動させることは難しく、時間が過ぎていきました。しかし木戸さんの熱い思いがやっと実を結び、クレジットカード会社の顧客情報システムをUNIX環境で開発するプロジェクトに配属されました。
■急な異動命令にびっくりして

それから半年が過ぎたころ、会社から急な異動命令が木戸さんにいい渡されました。

きっかけは、B証券会社の大型プロジェクト(受注時はメインフレーム環境)を受注したことでした。会社には、何とかそのプロジェクトを成功に結び付けたいとの思いがあり、実績と顧客の評判、社内の各プロジェクトの状況も考え合わせ、メインフレーム環境の開発経験が長い木戸さんに白羽の矢が立ったのです。

木戸さんは急な命令に仰天しました。「やっとの思いでつかんだチャンスなのに、また以前の環境に戻されるのか……」。そして落胆すると同時に少々感情的になり、「この会社にいては自分のしたいことができない」との思いが強くなったのです。

その後間もなく、木戸さんは上司の引き留めにもかかわらず退職しました。そして転職活動をしていましたが、なかなかいい結果に結び付かず、あるとき私が話を聞くことになりました。
■「メインフレーム環境はNG」

ここまでの木戸さんの各局面での判断と行動について、ポイントを確認してみましょう。

・定期的な異動願い

会社は組織ですので、個人の判断だけで異動できるわけではありません。今回の木戸さんのケースでは、定期的にタイミングを見て上司に相談をしています。また明確に自分の考えをアピールし、熱心さを伝えたこともいい結果につながったのではないでしょうか。あとは会社のそのときそのときの状況から判断がされることになりますので、あせらずに行ったこともよかったのではと思います。

・急な異動命令が出たときの判断

異動命令の内容を聞いて、木戸さんが冷静さを失ってしまったことは残念ですね。

会社側の対応にも問題はあると思います。重要なプロジェクトを成功に導くため、適切な人材配置を考えて木戸さんに異動命令を出しましたが、木戸さんは明らかにモチベーションをダウンさせています。このことへのフォローが足りていないように見えます。

しかし、木戸さんも会社側としっかりした対話をする前に、この会社では自己実現ができないという「あきらめ」のために退職の決断をしてしまいました。

後日、木戸さんが元同僚から聞いた話によると、このプロジェクトはゆくゆくはオープン系にリプレースする予定であったそうです。会社ときちんと話し合いをしていれば、すぐに退職することにはならなかったのではないでしょうか。

・転職活動での情報把握

転職活動におけるポイントの1つに、「自分のキャリアと希望が現在の転職市場にマッチしているかの情報把握」があります。

木戸さんの場合は、キャリア(メインフレームを経験)と転職市場(オープン系が主流)との乖離(かいり)があること、比較的高い年齢と希望給与額(前職以上を必須としていた)から転職活動が難航していたようです。しかし現在のITエンジニアの転職状況は、全般的に「売り手」市場です。本来なら木戸さんのキャリアで難航することはないと思います。

ではなぜ、木戸さんの転職活動はうまくいっていなかったのでしょうか。

私が木戸さんと話をしていて気になったのは、「メインフレーム環境はNG」ということに固執しすぎている点でした。木戸さんはそれまでずっと、「メインフレーム」というキーワードがあるだけで「この求人は、自分の希望するものではない」と判断していました。しかし、例えばオープン系と混在している環境も多いものです。求人情報だけでは見えづらい、今後のプロジェクト展開や会社の方向性についてヒアリングをしたうえで判断するのがベターと思います。現に木戸さんの退職のきっかけになったプロジェクトは、オープン系に移行していますね。

■強みと課題は何ですか?

転職活動をサポートするに当たって、まず私はこれらのポイントを木戸さんとともに洗い出しました。次に木戸さんの強み・現在の課題を確認しました。

1.木戸さんの強みを確認

木戸さんと話し合ったところ、次のようなことを強みとして挙げられました。

    * 金融(特に証券系)業界の業務知識
    * 上流工程から運用までの経験
    * マネジメント経験
    * ユーザーに受け入れられやすい人柄

採用者側は木戸さんの年齢から、プロジェクトを回す力(マネジメント経験・業務知識)を最も重要視すると予想されます。企業が期待するポイントを、木戸さん自身がアピールポイントとして把握することは大事ですね。

2.木戸さんの課題を確認

「木戸さん、ご自身の課題は何だとお考えですか?」。このように聞いたところ、木戸さんは「やはり、オープン系の経験が少ないことですかね……」といいました。しかし私は「そのことは、ある意味小さいと思いますよ。一番の課題は、柔軟性が足りなかったことではないですか」と答えました。

確かに現在、業界ではオープン系が主流ではあります。しかし採用者側は、ただ単に経験してきた環境だけで判断をするわけではありません。先ほども述べたとおり、木戸さんの強みである業務・業界知識、マネジメントスキルも重視する傾向にあります。

木戸さんはこの点、考え方に柔軟性が足りなかったということになると思います。

私は木戸さんに、わずかな情報だけで「ここではできない」「あきらめる」「これではない」と判断するのではなく、視野を広く持って情報把握と検証をすること、現に多数のメインフレーム経験者の転職成功事例があることを話しました。

木戸さん自身、少々固執しすぎて視野が狭くなる傾向にある性格を振り返り、このことを課題としてきちんと認識してくれました。
■そして転職に成功

もう1つ考えなければならないことに、待遇面の希望がありました。前職では経験が12年目になっていた木戸さんは、業界水準より多い収入を得ていました。

話し合いをしたところ、木戸さんの転職活動における優先ポイントは「仕事内容」なので、「大幅な減額でなければOKです。この点も柔軟に考えます」とのことでした。

ちなみに年収提示については、例えば求人票に上限金額があっても、優秀な人材ならば企業もあらためて年収を検討する時代です(もちろん法外な要求ではなく、増額の根拠が明確なことが前提となりますが)。

以上のことから、私は木戸さんの強みを念頭に、SIerを中心とした複数の企業を紹介しました。木戸さんの活動は今度は順調に進み、金融業界・上流工程に強みを持っている準大手SIerから内定を得ることができました。年収面についても、的確なアピールと人柄で前職を多少上回る提示を受けました。

この木戸さんのケースからも分かるように、急な異動命令を受けた場合も、転職活動においても、あわてたり思い込みで行動したりではなく、適切な判断・対応をすることが大事だと思います。特に異動は、最初は「嫌だな」と思うようなことが、場合によっては大きなチャンスになることもあるのです。
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人生の重大な転機の1つ「転職」。
人材紹介会社でエンジニアの「転職」と向き合っている
キャリアコンサルタントの“つぶやき”を紹介していきます。

バブル崩壊後、多くの日本企業では、終身雇用制や年功序列賃金の
崩壊などにより、雇用環境が激変しました。その影響で、職に対する
意識も大きく変化しているといわれています。
政府が発表したデータによると、近年の大卒者の3年以内の離職率は、
3割を超えており、そうした点からも転職は身近なものになっています。
最近は、バブル期以来の売り手市場といわれており、転職者にとって
有利な状況になっていると思います。

しかし、いくら転職が全体では売り手市場になったといわれていても、
内定獲得に難航する場合もあります。

39歳の山下さん(仮名)に初めてお目にかかったのは1年前。
相談内容は「一生勤められる会社を紹介してほしい」というものでした。
転職を繰り返してきた彼は今回を最後の転職にしたいというのです。
いろいろと要望を語ってくれたのですが、彼の希望を満たす会社は
残念ながら見つからず、ご紹介に至りませんでした。

それから1年ほど経ったある日、彼から連絡がありました。
弊社のWebサイトに公開している企業に応募したいというのです。
さっそく、企業に連絡を取り応募推薦をしました。

しかし書類選考の段階でNGに。
理由は「退職してから約1年のブランクは長すぎる」「労働意欲に不安がある」
とのことです。

1年間かけて探し続けた理想の会社に応募するも不採用。
その後も、数社にチャレンジしましたが、結果は同じ理由ですべてダメでした。
このままでは理想の会社どころか仕事に就くことすら難しいのでは、という
恐怖に襲われ、現在は大幅に制限を解除し、急ピッチで転職活動を行っています。

100%要望を満たしてくれる会社などありません。
環境はある程度 会社が用意してくれますが、その点だけを求めると
本当に大切なことを見失ってしまうことがあります。

重要なのは
「どんな会社に勤めるか」ではなく「どんな仕事をするか」であり
100%の環境を求めるのではなく、いかにして100%の状態に近付ける
よう努力をするか、ということだと思います。

IT エンジニアの世界でも、中途採用を積極的に行う企業が増え、以前に比べて転職が容易になっている。その一方で転職した後に、「転職に失敗した」といって人材紹介会社に駆け込むITエンジニアが急増中だ。失敗しないためにできることは何か。パソナキャリアの人材コンサルタントがそんな疑問に答えよう。
■IT系企業、どのくらい知っていますか?

そもそもIT系の企業、どのくらい知っていますか?

新卒の就職活動のときに知った企業、いまの仕事で関係がある企業、インターネットや雑誌で記事を読んだことのある企業……。

私もITエンジニアとして勤務していた経験があるのですが、転職支援の仕事を行うようになって、こんなにたくさんの企業があったのか、こんなレベルの高い企業があったのかと、驚くことがあります。マーケティングなど市場の調査を担当しているITエンジニアでもない限り、普通に働いている方は、自信を持って多くの企業を知っているといえる方はいないのではないでしょうか。

今回は、企業名に引かれて転職したものの、入社して業務を始めてからやっと、求人の全貌を知ることになったSさんの例です。
■フィールドエンジニアからITエンジニアに転身

Sさんは、大学卒業後大手メーカーのグループ企業に入社し、機械のフィールドエンジニアとして勤務していました。しかし勤務して3年ほどたったころ、もともと興味のあったネットワークにさらなる興味を持ち、IT業界に転職をすることにしました。

未経験からの転職ではありますが、持ち前のコミュニケーション能力と前向きな姿勢で、教育系のソリューションを提供する企業に入社が決定し、転職しました。当初は、社内SE(システムエンジニア)として、社内のPCサポートからスタートしながらも、最終的には社外向けのネットワーク構築をはじめ、ネットワークエンジニアとしてキャリアを積むことができました。

仕事にそれほど不満はなかったものの、あるとき、中途採用の年齢の上限で多いのが、35歳ぐらいだということにWebサイトを見ているうちに気付いたSさん。そこで、34歳の誕生日を迎えたとき、ネットワークエンジニアとしての仕事の幅を広げるため、最後の転職のチャンスとして(奥さまにも了承を取り)、2度目の転職を決意しました。

Sさんは、先に述べたように当初の3年は機械系のエンジニアとしてのキャリアを積み、その後キャリアチェンジをして、社内SE、ネットワークエンジニアとなったため、ほかのITエンジニアの方と比べると、実績面で多少不利な転職活動となりました。

とはいえ、リーダー経験やマネジメント経験は積んでいます。最初の転職で評価されたコミュニケーション能力は、今回の転職活動でも高く評価され、それが功を奏したのか、最終的には数社から内定を得ることができました。
■グループ会社のP社か、ネットワークベンダか

内定企業のうち、Sさんがどこに入社すべきか迷ったうちの1社が、最初に入った企業と同じグループ企業に属するP社。システム部門を立ち上げ中の事業会社で、プロジェクトリーダーとしての活躍を期待されたポジションです。年収は650万円を提示されました。ただし、初めの1年間は契約社員での採用です。

もう1社は、成長中のネットワークベンダのB社。営業にかかわりながらもネットワークエンジニアとしてキャリアを積めるというポジションです。当初の提示年収は580万円でした。

年収が600万円のSさんにとっては、P社が最も高い年収での内定になります。しかもP社はSさんの希望・キャリアにぴったりのポジションです。

B社が提示したポジションもSさんにはいいものです。ただし問題は年収です。

S さんからは、年収ダウンになるのであればあまり転職する気になれないと伺っていたので、コンサルタントとしてB社と交渉しました。B社は、Sさんを高く評価していたので、できる限りの調整をし、当初は契約社員として半年働いてもらうが、その後正社員として採用し、その際の年収として630万円という提示をいただきました。

しかし、結局SさんはP社に入社を決めました。入社を決めた理由は、B社よりも高い年収と最初に入社した企業と同じグループの企業であったという安心感でした。P社との面接では、グループ会社の件で盛り上がったそうです。
■入社後に分かったP社の現状とは

入社して半年後、Sさんから連絡がありました。

「P社、次年度の雇用契約の継続はなさそうです……」

P社の立ち上げる予定の新規事業の内容について、求人のヒアリングをした際には社外秘ということで教えてもらえませんでした。Sさんも社内の現状は入社後に知ったとのことでした。

もともと印刷系企業だったP社は、ほかの印刷系の企業がIT分野へ進出して成功したことから、遅まきながらIT事業を立ち上げようとしていたとのことでした。とはいえ、実際のところ、社内の体制はまったく整っていない状況でした。

ネットワークエンジニアとしてキャリアアップしようとしたSさんですが、1年の契約で終了することになりました。

次の転職では、キャリアに進展はほとんどないにもかかわらず、短期間に転職回数が1回増えてしまい、厳しい転職となってしまったのです。
■社名だけで判断せず、面接で確認を

Sさんの入社を大きく左右したのは、P社のグループ名でした。新卒で入社したときと同じグループ会社だったので、グループ会社の話で盛り上がったことで、何となく分かった気になってしまったことが、転職が失敗する原因の1つとなったのでした。

同じグループ内といっても、社風や制度などが異なるのがほとんどです。事業部が違うだけでも、社風が異なるというケースはよくあります。

社名や、自分のネットワークの一部の接点だけ(知り合いのうわさなど)で判断するのではなく、面接の場で一緒に働く方や社内の雰囲気を見、時には質問をすることで、じっくりと転職先を判断するようにしましょう。

人材紹介会社では、面接の場で聞きにくい質問に対して、代わりに企業に確認したり、企業に悪い印象を与えない質問の方法をアドバイスしたりすることが可能です。納得したうえで、入社を決めるようにしましょう。

IT エンジニアの世界でも、中途採用を積極的に行う企業が増え、以前に比べて転職が容易になっている。その一方で転職した後に、「転職に失敗した」といって人材紹介会社に駆け込むITエンジニアが急増中だ。失敗しないためにできることは何か。パソナキャリアの人材コンサルタントがそんな疑問に答えよう。
■内定獲得だけでは喜べない

皆さんの多くは、学生時代に就職活動をしたことがあるはずです。就職活動をした方の中には、内定を数社からもらった後、じっくり悩んだ末に入社を決めた方もいらっしゃるでしょう。もしかしたら、内定が出たのは1社のみで、仕方なく入社を決めたという方もいるかもしれませんが……。

中途採用では、多くの会社から内定をもらったからよし、というわけではありません。

今回ご紹介するSさんは、順調に選考が進み、第1志望の企業を含む数社から内定をもらったものの、第1志望の企業に入社せず、転職活動を仕切り直しするため、弊社にお越しになりました。なぜそんなことになったのでしょうか。
■SAPの経験・資格を生かすため転職を決意

S さんは、大学卒業後、システム関連会社に入社しました。仕事内容は、客先常駐のシステムサポートでした。当初は簡単なヘルプデスク中心の業務でしたが、勉強熱心なSさんは新しい技術も習得しながら、顧客の信頼も得て、サポート先の社内SEのようなポジションで働くようになりました。

さらに、Sさんは企業の支援を受けてSAPの認定資格も取得しました。資格取得後は、SAP R/3に関するサポート業務や、R/3導入に際してのマニュアル作成・トレーニングまで担当するようになりました。

顧客からは高い評価を受けていたものの、会社の方針でSAPに関する業務を縮小することとなってしまったため、SAPにかかわる業務を希望するSさんは、キャリアアップを希望して転職を決意しました。

入社する会社が決まってから退職したいSさんは、仕事は忙しいながらもインターネットで求人を探し、応募手続きを進めました。Sさんはたくさんある求人の中から、自分のキャリアを生かせそうな求人に絞って応募しました。ある程度企業数を絞って応募したものの、企業から評価の高いSAP資格を持つSさんは、ほとんどの企業で書類選考を何なく通過したのです。
■そして第1志望の企業から内定が出たが……

書類選考の結果、同時期に6社の面接の調整を進めることになりました。面接の慣れなどを考え、志望度合いの低い企業を先にして日程を調整しました。

そのころ、Sさんの仕事はある程度落ち着いていたものの、6社の面接の調整はかなりの負担になりました。企業からの選考の結果を帰宅後に毎日確認し、企業の優先順位を考慮しながら仕事の予定を見比べて日程を調整し、日中に面接をせざる得ない場合は有休を取るため会社に申請をし……。企業との調整は、やりとり自体も選考の1つのように感じ、気を抜くことができません。

コミュニケーション能力の高いSさんは、面接も順調に進みます。先に調整していた企業では、いままでの年収を100万円以上も上回る条件で内定通知が出ました。ほかの会社の条件を見てから判断しようと思いましたが、回答期限を決められてしまい、第1志望の企業の2次選考前に判断しなくてはなりません。第1志望の企業の選考を優先し、辞退することにしました。

さらにほかの企業の内定も続々と出ましたが、第1志望の企業の感触もよく、内定の手応えもあるため、入社する気分になりません。

ついに、第1志望の企業より内定が出ました。大変だった転職活動もこれで最後、条件を確認して入社手続きを進めようとしたところ、提示された年収は想定よりも大幅に下回っていて、毎月数万円の収入ダウンとなり、入社をあきらめることにしました。

仕事をしながらの求人探し、面接などの調整にも疲れを感じるものの、転職を決意してからは、いまの会社で働き続ける意欲もなくなってしまいました。しかし、応募したいという企業が見つかりません。転職活動の再スタートを切るため、弊社に相談にいらっしゃったのです。

面談を通じてSさんならばコンサルティングファームもチャレンジ可能と考え、ファーム2社を含む、十数社をご紹介しました。Sさんは将来的には興味があるけど、まだ無理だろうとしてコンサルティングファームに応募していませんでした。今後の転職活動のスケジュールを綿密に打ち合わせし、まずはコンサルティングファーム2社に応募し、選考の状況を見てほかの企業にも応募することにしました。2社の選考は順調に進み、結果として2社から内定を獲得し、条件や仕事内容などじっくり比べたうえで、社風が合うと考えたA社に入社を決定しました。
■応募のタイミングにもコツがいる

最終的にはSさんにとって良い結果となりましたが、受けたい企業も受けきってしまった後で、辞退した企業の内定を受けていれば、と後悔しても手遅れです。転職活動を進めていくうちに在籍している企業で働く意欲を失ってしまい、どうにもならなくなってしまうケースもあるようです。

今回のSさんの当初の失敗は、条件を把握しないまま、企業の取捨選択を行ってしまった点にあります。中途入社の場合は、前の会社の収入で生活基盤ができているため、年収などの条件をきちんと確認してからでないと、入社を決定することは難しいといえます。

一方で、新卒採用とは異なり、内定後の回答期限が比較的短期間であるのが中途入社です。会社に在籍しながらの転職活動では、面接の日程調整も難しく、うまく調整しないと内定をもらってから条件を比較することができないこともあります。

応募する際のポイントとしては、比較したい企業があるのであれば、同時期に内定が出るように調整することが重要です。できる限り情報収集を行い、応募の日程を綿密にプランニングするとともに、必要に応じて企業と面接日程の交渉なども行う必要があります。

入社を短期間で決断せざるを得なくなるケースもあるので、どのような条件が出たら入社を決めるか、事前に決めておくのもお勧めです。年収を含めた条件については、月額で最低何万円は必要といった妥協ラインを把握するとともに、譲れない条件がある場合は応募時に伝えておくと、年収面での行き違いは減りますね。

人材紹介会社を利用すると、企業との調整(ほかの企業と比べ、選考が遅れている企業がある場合、企業に選考を早めるよう働き掛けたり、年収の交渉も行います)や情報収集が楽になると思います。仕事をしながらの転職活動に戸惑いや悩みなどがあれば、人材紹介会社に相談してみることも解決策の1つだと思います。


自分がなぜ仕事をしているのかということを改めて考えてみました。

収入を得るため、社会的責任、注目されたい・・・など、いろいろな理由はありますが、でも、一番の理由は、やはり「楽しいから」です。

では、なぜ楽しいのか。
何を楽しいと感じるのかを考えたところ、たぶん「考える」ことが楽しいのだと思います。自分の知識や経験、感などを元に、こうすれば売れるという仮説を立てて、それを実行し、その通りになるのがとても楽しいのです。もちろん、仮説通りにいかないこともありますが、その場合に、何が間違っていたのかを考えて、仮説を修正したり、次のチャンスを待ったりしますが、基本的にはそれも楽しいです。

販売だけでなく、プレゼンや企画でも、決定者の心理なども想像して、こうすれば採用されるという仮説を立てて、実行して結果を待つのが楽しいのだと思います。

相手が人間でなくて、コンピュータなどの物である場合は、少し勉強をすればかなり高確率で、正しい仮説が立てられます。しかし、相手が人間の場合は、一人一人考え方も違うし、置かれている立場も違います。また、相手が一人ではなくて、不特定多数の人であると、もっと難しくなります。考える要素が深くて多いほど楽しさは増します。

また、多くの人が「ダメだ」と判断している事柄について、自分なりに分析・熟慮して「行ける」と判断し、実際に行ってうまくゆくと、もの凄く気持ちがいいというか、うれしいです。

そう言った喜びを感じるために仕事をしているのだと思います。
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